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モエン島の東のはずれにザビエルハイスクールという高校がある。このザビエル高校では現在、日本語のクラスが設けられている。海外青年協力隊の永松隊員とイエズス会から派遣されている山内さんの2人でそのクラスを担当している。いずれも若き男性である。
 今日は、永松隊員からの依頼で、彼の担当する4つのクラスの生徒達に浴衣(ゆかた)の着付けを指導する事になった。対象となるクラスは、5名~13名とこじんまりした人数で、ユカタの着付けをするのには丁度いい人数である。このゆかたは、山内さんのお母さんからザビエル高校に贈られたもので、12着揃っている。今日の私は、妻・カオルのアシスタントである。

9時30分、まず最初のクラス(3年生)に入って行く。『このクラスにはいつも苦労しているんでよ!』と言う永松先生の言葉とはウラハラに、13人の生徒達はみんなニコニコして私達の到来を歓迎してくれる。今日はキモノが着れるという期待感からか、みんなウキウキしている。元気な日本語の挨拶の後、これもまた日本語で思い思いの自己紹介が始まる。時々私が茶々を入れて緊張を和らげてあげるとヤンヤの喝采である。日本の高校の授業とはちょっと雰囲気が違い、やってるこちらもとても楽しい。

いよいよ待ちに待ったユカタの着付けだ。色とりどりのユカタを箱から出して見せると、みんな興味深げにじっと見つめている。T-シャツやジーンズ、あるいはスカートの上からユカタの着付けが始まる。
最初は遠慮がちだった生徒達も、一着目の女子生徒の着付けが終わった途端、その美しさに惹かれたらしく、私! わたし! と叫びながら我先に自分好みのユカタを奪い合っている。
他の人よりもイチ早く着てみたくなったらしい。

全員の着付けが終わったら記念撮影だ。あちこちから、私も、私もと声が掛かる。
興に乗った生徒達は、教室から出て、キャンパス内を歩き出す。教室だけで済ますにはあまりにももったいないと思ったようだ。他の教室の生徒達が首をのばして見つめている。時ならぬユカタのファッションショーである。得意げにはしゃぎながら歩き回る生徒達の姿を見ているのはとても楽しい。

次のクラスからは、もうみんな黙ってはいない!先発隊の得意げに闊歩する姿を、『次は私達の番だ!』とうらやましげに見ていたのだ。我先にユカタを手にとっては早くも順番を待っている。気の早い男生徒の中には、みようみまねで自分で着付けにトライしている者までいる。着付けが終わると、永松先生はカメラマンに早変わりする。思いがけずにユカタ姿の写真を撮れて、みんな興奮気味である。
きっといい記念になったことだろう。

『今日の生徒達は本当に楽しそうだった!』そう言う永松先生の顔もとても嬉しそうでニコニコとしている。学校を出るとき、あちこちからの生徒達から、『ありがとう!』『さようなら!』という
日本語の声が聞こえてくる。車に乗り込む私達の顔もきっとニコニコと微笑んでいたことだろう。