カテゴリ: 南の島の仲間たち

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四季の変化をほとんど感じる事の無い南の島に住んでいると、日本の季節や情緒が無性に懐かしく感じられてくる時がある。
雪景色や紅葉、新緑や夏の風情など、日本の変化に富んだ自然は、南の島に住む我々にとって、心の隙間を埋めてくれる楽しい思い出の時間だ。

南の島ではおよそ感じる事の出来ない、日本独特の〝 わび・さび ″もまた同様で、時々そのような感情の波に包まれることがある。そんな時には、ささやかな庭いじりをしたり、好きな貝やサンゴをいじったりしてごまかしている。

そして今日、お蔵入りしていたサンゴを取り出した。
大きさが10センチにも満たないかわいい樹サンゴ(ヤギ類)の仲間だ。
アウトリーフの波の荒い岩陰にのみ生息するサンゴで、人の目に留まることはほとんどない。
このサンゴに私は勝手に『ヒメサンゴ』と名付けている。
かわいい〝姫″と人の目に留まることない〝秘″を掛けたネーミングである。
このヒメサンゴが大好きで、チャンスがあれば少しづつ集めている。
サンゴの砂を使って、ヒメサンゴ盆栽を作るのが目的だった。

仕事も一段落した日曜日。
妻と2人、古ぼけた日本人の情緒を振り絞って作ったのが、写真の『ヒメサンゴ盆栽』だ。
殺風景な家の中で、わずかばかり日本の風情をかもし出してくれる。

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サイパンのとある友人からチューク人への求人依頼が舞い込んだ。

ミクロネシア最大のウォーターリゾート『サイパンワールドリゾート』のライフガード募集によるものだ。
スポーツマンで泳ぎの達者な者が対象だ。
泳ぐことならチューク人にとっては朝飯前。
彼らと来たら、朝から晩まで、雨が降ろうが海が荒れようが、連日海に入って魚取りに興じている。

早速、島内のあちこちに案内の張り紙をして、ラジオ局にも連日通って募集の放送をしてもらう。
結果15人の応募者が集まった。
急な公募だったせいか、思ったより応募者が少ない。

まずは1人づつの面接。
ライフガードなだけに、酒や麻薬には厳しい。
酒の量は? マリファナは?? と、厳しい質問が飛ぶ。
そしてお客様相手ならではの笑顔の対応、、、などなど。

1人1人の厳しくも楽しい面接が終わると、今度はスイミングテストだ。
ウォーターリゾートでは、たくさんのプールやビーチがメーンの仕事場となる。
泳ぐ力が試される。
ホテルの沖合に設置されたブイまで全力で泳ぐ。
その後は息つく暇もなく、立ち泳ぎのテスト。

果たして何人合格するか??
と言うより、何人かを落とさなければならない。
合格の喜びに沸く笑顔の裏で、一生懸命テストを受けていた不合格者に伝える言葉が今からつらい。

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南の島のフルーツと言えば、バナナ、パパイヤ、パイナップル、マンゴー、と言ったあたりが定番だが、島の中をよく見ると、日本人にはなじみの薄い様々なフルーツがまだまだ沢山ある。

そんな中で、最近病みつきになっているのが、写真にある小さな木の実・南洋サクランボだ。
現地名を『チー』と言う。
プチッ、と一口噛んだ瞬間、得も言われぬ甘さと食感が口の中に広がる。

このチーの木、成長がやたら早く、2年前に植えた小さな苗が今では3~4mにもなり、長い枝を何本も伸ばし、連日沢山の実を付けている。
我が家の庭で沢山の小さな実を付けているこのチーの木は、1昨年のTV取材で離島を訪れた時、知人からもらってきた苗を植えたものだ。半年ほど前、早くも小さな白い花が咲き始めたかと思うと、今ではかわいい実を枝の隅々までいっぱいに付けている。

現地人にも人気の木の実で、通りすがりにポイポイと摘んでは口の中に放り込んでいる。
木の実を失敬するのは構わないが、最近、このチーの実にご執心なおばちゃんに、枝を1本盗まれてしまった。
おまけに子供たちが、枝を引っ張っては木の実を取ろうとするので、チョイチョイ枝が折れたりもする。
最近はご難続きのチーの木だが、それにも負けずグイグイと成長し、連日私たちの口を楽しませている。

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南国を彩る鮮やかな花々。
何日も咲き続ける花もあれば1日で散って行く花もある。

そんな中で、夜に花を開き夜明けにはそっと人知れず散って行く花がある。
その名は「サガリバナ」(下がり花)。
名の通り垂れ下がった長い花の蔓に妖艶な花を夜毎咲かせる。
日没と同時に小さな蕾が膨らみ始め、1時間を過ぎた頃には写真のような見事な花を開く。
若葉と種子は現地の人達の大事な薬草でもある。

サガリバナ科の植物でもう一つ、やはり夜咲く花がある。
名前は「ゴバンノアシ」。
奇妙な名前の由来は、種の形が碁盤の足に良く似ているところからの命名だ。
ゴバンノアシも下がり花同様に、日没と同時に咲き始め、夜明けには散って行く。

いずれも海岸や水辺などの湿地帯に埴生しており、水面に落ちた花弁は夜の夢を再現させてくれる。
沖縄の西表島では、川面に浮かぶ花弁をめぐるツアーがあるほどだ。

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この名前から植物を連想するのは、ちょっと難しい。

熱帯地方特有の植物で、葉を切り取り、適度な水分を与えておくと、葉から発芽すると言う特性を持つ。
無性生殖性の植物だ。

釣鐘や灯篭状の花を咲かせるところから、別名『トウロウソウ』
あるいは、葉っぱから発芽するところから『ハカラメ』とも呼ばれている。

植物好きの友人から、この事を教えてもらい、ずっと気になっていた。
ところが最近になって、偶然にもホテルのキャンパス内でこれを発見した。
早速、数枚の葉っぱを失敬し、野生蘭の植木鉢に差していたところ、見事な新芽が伸びてきた。

なかなか花が咲かないと言うが、これからが楽しみだ。

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日本の夏の夜、秘めやかに花を咲かせる月見草。

こちら常夏の南の島にも、そんな植物がいくつか見られる。

陽も落ちて、あたりが暗くなリ始める頃、かわいい蕾が柔らかく膨らみ始める。

そして、水平線に落ちる南国の夜は一気にやって来る。
そんな南国の夜に呼応するかのように、膨らんだつぼみが、まるでスローモーション映像を見るかのように、一気に花が開き始める。

いったいどのようなメカニズムで動いているのか・・・・

妖しくも美しいこの花を見ていると、知らず知らずのうちに異次元の世界に引き込まれてゆく感じがする。

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熱帯の花と言えば代表的なのが、このハイビスカス。
今では品種改良が進んで、世界中の花屋さんで簡単に入手できる。

それでもはやはり、南の島での存在感は群を抜く。
島の中、どこを歩いても、必ずいろいろな色のハイビスカスに出会う。

南国の華である。

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とある民家の庭先に、いつまでも蕾(つぼみ)のままのハイビスカスがある。
今にも咲き終わって萎んだような格好で、真紅の大きな蕾をたくさん付けている。
朝見ても、昼見ても、夕方に見てもいつも咲き終わったような姿でひっそりと垂れ下っている。
きっとこのハイビスカスは夜に咲く種類なんだろうな・・・、そばを通るたびにそう思っていた。

ある夜、その家の庭先を通った時に、咲いている姿を見たくてそのハイビスカスを見てみた。
(._.)やはりもうすでに咲き終わったような同じ姿で、枝先にぶら下がっている。

ある日、この家を通りかかったとき、オバサンに聞いてみた。
『ねえ、この花はいつ咲いてるの? いつ見てもこうだけど・・・?』
『今、咲いてるよ! これが花だよ!』
『エッ・・・?!』

そうか、これが花だったんだ、こんな花もあったんだ・・・、
とその時初めて合点がいった。

南の島にも、夜咲く花はいくつかあるが、蕾のままで咲いている花に出会ったのは初めてである。
そう思ってよ~く眺めると、幾重かの閉じた花ビラの間からきれいな雌しべが出ているのが見える。
それからというもの、この家のそばを通るたびに、この風変りなハイビスカスを眺めている。

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