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小笠原に伝わる南洋踊り・・・。
20年前の小笠原でチューク出身の若者が目にした踊りは、チュークの踊りそのものだった。
そのチュークで最も伝統的な慣習が残っているパッテイウ地方のPULAP島。(ポンナップと発音)
南洋踊りのルーツを求めて初めてチュークを訪れた小高氏は偶然にもポンナップ島に渡る機会を得た。
グアムから1000キロ、チューク本島からでも400キロ近くも離れた、周囲4キロ足らずの絶海の孤島である。

そこで目にしたものは踊りだけでなく、海洋民族の伝統的な生活風景そのものだった。
フンドシと腰巻を身にまとい、タロイモ、パンの実、バナナ、椰子の木、そして豊富な海の幸を糧に伝統的な生活を続ける島人達。
羅針盤や近代航行技術に頼らず、自然の航海術で太平洋を行き来する海の民。
その外洋帆走カヌーを今も大事に保管する伝統的な造りの巨大なカヌー小屋。
カヌー小屋は島の男たちの憩いの場所でもあり航海術を学ぶ寺子屋でもある。

島にあるものが彼らの生活の全てであり、彼らの世界でもある。
世界中が文明の波に洗われ犯されていく昨今、チュークの島々もその例外ではない。
そんな中でポンナップ島のリーダーたちはその伝統的な世界を守るべく、文明の荒波にあらがい果敢に立ち上がっている。
そして今、この小さな島の小さな世界で、世界に向けて大きな波が広がり始めている。