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サタワン島の西岸をボートはゆっくりと北上する。

沿岸のいたるところにカヌーを見かける。
海岸の砂浜に押し上げているものもあれば、椰子の木の下の浅瀬に浮かんでいるものもある。
そしてまた、我々のボートの傍を、音も無くゆっくりと滑ってゆく。
これだけでも気分はウキウキで、早くも心は桃源郷に来た気分だ。

サタワン島の北端、かつての日本軍時代の桟橋跡に上陸する。

話は通っているみたいで、数人の現地人が私達の荷物を抱えて、早速宿泊先の家まで案内してくれる。
桟橋から5分ほどで、ホストファミリーの家に到着。
まずは、サタワン島の椰子の歓迎を受ける。
チュークではいつも飲み慣れた椰子だが、事の他美味しい感じがする。

荷物を整理して、早速、村の散策に出かける。

これもまた、ガイドさんもすでにお待ちかねで、ニコニコとこちらの要望にこたえてくれる。
家から数分で島で唯一のメーンストリートに出た。
メーンストリートと言っても、もちろん電気も無ければ車も無い。
ただ・ただ、緑に囲まれた1本の道路が島の西側の集落を貫いて通っているだけである。

ところが・・・、なんと・・・、道路に出た途端、これまでの南の島の常識を覆す光景に早速でくわした! 
とにかく何もかもが綺麗なのだ!!

砂を敷き詰めた道路は整然としていて、ゴミ一つ落ちていない。
メーンロードから各家々に続く道も、道路の周りも、道端にあるバナナの木の周りも、パパイヤの木の周りも、そして大きなパンの木の周りも、その1ヶ所・1ヶ所、1本・1本まで、見事に手入れが行きとどいている。
見通しのきく限りの道路そばには、はるかかなたまでクロトンの見事な並木が続いている。

こんな世界を造り、見事に維持しているこのサタワン島の人達は、一体全体どんな人達なのか・・・!

この通りを見ただけで、早くも私たちの心は洗われるようだった。
チューク本島や周りの島々の風景に慣れた私たちの目には、何とも不思議な光景だった。
今日は遅い到着で、わずか数時間の散策であったが、もう何日も滞在しているような錯覚を覚えた。
それほど新鮮で驚く事の連続だった。