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北緯7度のチューク(トラック)諸島。
2月も半ば近くとなり、夜半の夜空に南十字星が姿を見せ始めた。
これからの半年間、少しづつ高さと輝きを増して、南の島を訪れる旅人たちの心を慰めてくれる。
宇宙の歯車が見せる永遠とも思える時節のサイクルである。

そして今、そんな宇宙時計の時節の到来を予期させてくれる、もう一つの自然の時計がある。
“カポック”と呼ばれる巨大な綿の木だ。
南十字星が夜空にひっそりと姿を現し始める頃、カポックの綿のつぼみが一斉に開き始める。
南の島のどんな樹木よりも大きなこの綿の木は、周囲を圧倒するかのように島々を見下ろし
まるで、夜空に輝く星雲のように、島々の緑の中に点在している。

カポックの綿毛が宙を舞い、天に昇る頃、南十字星はいよいよその輝きを増す。