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とある民家の庭先に、いつまでも蕾(つぼみ)のままのハイビスカスがある。
今にも咲き終わって萎んだような格好で、真紅の大きな蕾をたくさん付けている。
朝見ても、昼見ても、夕方に見てもいつも咲き終わったような姿でひっそりと垂れ下っている。
きっとこのハイビスカスは夜に咲く種類なんだろうな・・・、そばを通るたびにそう思っていた。

ある夜、その家の庭先を通った時に、咲いている姿を見たくてそのハイビスカスを見てみた。
(._.)やはりもうすでに咲き終わったような同じ姿で、枝先にぶら下がっている。

ある日、この家を通りかかったとき、オバサンに聞いてみた。
『ねえ、この花はいつ咲いてるの? いつ見てもこうだけど・・・?』
『今、咲いてるよ! これが花だよ!』
『エッ・・・?!』

そうか、これが花だったんだ、こんな花もあったんだ・・・、
とその時初めて合点がいった。

南の島にも、夜咲く花はいくつかあるが、蕾のままで咲いている花に出会ったのは初めてである。
そう思ってよ~く眺めると、幾重かの閉じた花ビラの間からきれいな雌しべが出ているのが見える。
それからというもの、この家のそばを通るたびに、この風変りなハイビスカスを眺めている。