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今年もまた、日本遺族会の慰霊ツアーが執り行われた。
トラック諸島で父を亡くしたご遺族の方たちだ。
母と共に苦難の65年間を生きぬき、今ようやく父の眠るトラック諸島を訪れる事が出来た。

今年はトラック大空襲から数えて65年目の節目の年でもある。
ご遺族の方達の想いも事の他大きい。
この4日間、父の軌跡を追ってトラック諸島の島々や海を訪ね、この地に眠る父の慰霊を行った。

最終日、慰霊行も滞りなく終わり空港に到着し、空港チェックイン完了。
いよいよトラック諸島ともおわかれだ。
後は近くのレストランで昼食を取り、飛行機に乗り込むだけである。
メンバーの半分を占める女性たちは、『ああ~、まだかえりたくないねぇ~~』と口々に話している。

そして、いよいよ搭乗、と言う時、空港マネージャーが私のところにやってきた。
どうも浮かぬ顔である。
『スエナガさん、今日の飛行機はオーバーブッキングで、あなたのお客様の半分は残って頂くことになります。』
なんと言う事だ!!
次の便は2日後である。
すったもんだの挙句、何とか先発隊の人選を終える。
結局〝まだ帰りたくないね~”のご婦人たちに助けられた形となった。
ご婦人方は、『お父さんが呼んでくれた!』とむしろ喜んでいる。

翌日、父に引き止められたご婦人部隊9名は、無人島ツアーとしゃれこむ。
予期せぬ休日がプレゼントされ、みんな楽しそう。
貝殻や白いサンゴのかけらを、父の形見に持ち帰ることになった。

出発当日、島内観光の後、飛行場に向かう。
するとどうだ!
今度は飛行機は10時間遅れで、夜中の到着だと言う。

そして今、みんなは空港待合室で、静かに飛行機を待っている。
きっとみんなの胸の中には、トラックに眠る父の姿が去来していることだろう。