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 いよいよ最後の日、今日は遠出をしてキミシマ環礁に行くことになった。
仲良くなった岩波さん達とも一緒だ。
キミシマ環礁はトラック環礁のさらに南に延びる大きな環礁だ。
きのうの小田島水道から外洋に出て、キミシマに向かう。

 外洋に出たあたりから盛んにトビウオが飛び始めた。
鳥の羽を思わせるその長いムナビレをいっぱいに広げて、
波の間を滑るように飛んで行く。
早い早い! 
疾走するボートのスピードよりも早く、いつまでもいつまでも飛んでいる。
みんなの目が洋上をすべって行くトビウオを最後まで追っている。

 キミシマ環礁は0メーターから垂直に500メートルも落ち込む海の断崖絶壁で、
どこまでも続く大ドロップオフになっている。
ダイバーたちのあこがれのポイントにもなっている所だ。
さっそくみんなで海に入っていく。
海はとてもきれいでどこまでも透けて見える。
体がスー、と吸い込まれそうになる。
崖の上の方の浅いところには、きれいなサンゴと熱帯魚がいっぱいだ。
崖の下の方には大きな魚がたくさん泳いでいるのが見える。
 素潜りでもぐってみる。
大きな魚が体のすぐ近くまで寄ってきた。
何度も何度も潜ってみる。
まるで魚になったような気分でとても気持ちがいい。

 ランチタイムはキミシマの無人島に上陸だ。
去年行った島とはまた違う島だった。
長~い、大きな島だけど誰~れも住んでいない。

 お弁当を食べたあと、キャスティングに挑戦!
キャプテン・ポコに教えてもらって、無人島のきれいなビーチから何度も何度もキャスティングを繰り返す。
最初は魚がルアーをよく追っかけてきたが、しばらくすると魚も追って来なくなった。
もうやめようかな、と思った時、魚が食いついた!
『ユウキ、ゲット~!』
キャプテン・ポコが叫ぶと、みんながいっせいにこちらを見ている。
上がってきたのはメッキと言って、ヒラアジの仲間だった。
キャプテン・ポコが、『ユウキ、この魚はとってもおいしいよ!』と教えてくれた。
“よし!これでまた今夜のおかずが出来たぞ!”
初めてのキャスティングで釣った魚。
チョーうれしい!

 キャプテン・ポコがボクに内緒で、
『ユウキ、今夜のおつまみを取りに行こう。』と言ってくれた。
キャプテン・ポコとシュノーケルに出かける。
浅いけれどサンゴがいっぱいでとてもきれいだ。
少し泳いで深い所に行った。水深は1.5m位。
 キャプテン・ポコがサッと潜って、小さな貝をいくつか取ってきてボクに見せてくれる。
『これ、すっごくおいしいヨ!ユウキ』
海の中を覗いてみると、海底の砂地の中に同じような貝がたくさん見えている。
これだったらボクにも簡単に取れそうだ!
早速潜ってみる。一回の息つきで5~6個とれた。
何度も何度も潜っては、そのたびに両手いっぱいに抱えたツマミ貝を網の中に入れていく。
小さな網は、いつの間にかツマミ貝でいっぱいになっていた。

トラック島最後の夜。
キャプテン・ポコや、一緒に遊びに行った岩波さん達とみんなで楽しい夕食が始まった。
今日、自分で取ったツマミ貝とシャコ貝がお皿にたくさん載っている。
みんなで貝をつまむたびに、楽しかった海の話がテーブルを飛び交う。
そしてユウキのテーブルには、初めてのキャスティングでゲットしたあの小さなヒラアジの唐揚げがあった。
小さな魚だけど、ユウキの心には大きな大きな思い出としていつまでもいつまでも残っている。
ユウキの遊んだ4日間。チュークの海には、白く浮かんだ雲がゆっくりとながれていた。