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朝は少々荒れ気味、でも久し振りのフィッシングツアーで、勇んで海に出た。
貿易風の心地よい風をを全身に浴びて爽やかなクルージング。ところが、アウトリーフが近づいてきた頃
思わぬアクシデントが発生した。荒波に叩かれて修理したばかりのボートが破損してしまった。
ボートの船底に割れ目が生じ、浸水始めたのだ。ボートが走るに比例して船底の割れ目から海水が流入してくる。周囲200キロのトラック環礁。ここでボートが沈んではまず助かる見込みはない。
だんだんと海水がボートの中に満ちて来る。目にもはっきりと、ボートのスピードが落ちてくる。
間近の無人島まではまだかなりの距離がある。それでも必死の排水作業で、何とか浸水を現状維持で食い止め、ツインエンジンはあらん限りのパワーで、ボートを推し進めている。
だんだんと無人島が近づいてきた。無人島周りの浅瀬を回避して砂浜に乗り上げる。
助かった!!何とか洋上での沈没は免れた。
しかし、ここからが問が題だ。本島までは洋上はるか約25キロ。本島に連絡する手段も何もない。たまたま無人島に2人の現地人が居たが、彼らも無線は持っていなかった。何とかして、このボートを再び走れる状態にして、救助を呼ばなければならない。ボートに付いているあらゆる付属品を取り外し、ボートを素っ裸の状態した。
無人島に生えている樹木を切り倒しフロアーデッキの排水口ををふさぎ、ボート内に浸水した海水を必死で汲み出す。身軽になったボートだが、ひっくり返して破損箇所を応急修理しようとしても、海水をたっぷり飲み込んだ30フィートボートは、少人数ではビクともしない。仕方なく船倉の防水処置を徹底的に施し、海に浮かべてみる。船倉の空洞にたっぷりと海水を満たしたボートは、チョット傾くと今にも沈みそうだが何とか浮いている。これなら何とか走っていけそうだ。
一度は外したエンジン2基を付けなおし、無線のある近くに島まで走っていく事にした。
今にも沈みそうなボートの後姿に全てを託し、私とお客様は、無人島で救援のボートを待つ事にした。
しかし、待てど暮らせど迎えのボートの姿は見えない。
待つ事5時間、やっと水平線の彼方にボートの姿を確認する。
夕食のテーブルにはキハダマグロの刺身を並べるはずであった今日のフィッシングは、無人島での優雅な一日に取って代わってしまった。
当然、夕餉の晩餐にはマグロの刺身にも増して、食べど尽きない島流しの話が格好の酒の肴となった。