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南の島の伝統的な乗り物に、カヌーがある。
 外洋を航行する大型の帆走カヌー。
近代航行機器を使わず、天体と自然の法則を駆使して何千キロも航海する。現在でもチュークのある離島には10艇ほどが現存しており、彼らの貴重な足となっている。数百キロも離れた離島からこのモエン島にやって来る大型の帆走カヌーを、今でも時々見かける事がある。
 現在ではすでに無くなってしまったが、戦闘カヌーと言われる物もあった。
長い大きなアウトリガーカヌーで、武器と兵隊を積んで高速で滑るように走っていくものだったと言う。
20数年前の空港ターミナルには本物の戦闘カヌーが飾ってあったのを覚えている。
 そして、今でもチューク地方の全ての島々で普通に見かける小型の刳り貫きカヌー。
島の沿岸で漁をしたり、チョットした島民の足として今も盛んに使われている。
子供達の遊び道具としても大変貴重なものである。
ボートでチューク環礁を走り回っていると、この刳り貫きカヌーに乗って釣り糸を垂れている姿や、海での遊びに興じている子供達などをよく見かける。
モーターボートが急激に普及している昨今、チューク地方では今でも昔ながらの刳り貫きカヌーが島人達の生活の中に生きており、海洋民族としての彼らの生活習慣を根強く守っている。