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チューク環礁は周囲が200KM以上もある。神奈川県の面積に匹敵する程の大環礁だ。
大洋上に忽然と突き出たその環礁は、外洋を航海する船舶にとってはとても厄介な存在である。そんなわけでこの環礁の外洋に面したリーフ上には現在6隻ほどの座礁船がある。いずれも戦後のもので私が来た30年前には、その大半がすでに環礁に打ちあがっていた。今では朽ちて原型を留めないものもある。
そして今年、新年の気分も抜けやらぬ時、新たな船舶が座礁船の仲間入りをした。
この船が座礁したのは幽霊船だったからだ。船には誰も乗っていなかった。時おりしも貿易風の吹き荒れる夜、投錨していたモエン島東端から漂流して、あっという間に50km近くも離れたアウトリーフに乗り上げてしまったのである。しかもこの船には、離島の学校建設のための様々な建築資材が満載されていた。大量のセメント、数百枚のベニヤ板・角材・鉄筋や釘の類、発電機などの機械類、等々。。。
現地人にとっては正に宝船だ。私が目撃したのは座礁から数日後であったが、案の定、すでに現地人のボートが来て積荷を物色していた様子だった。船主と関係者の事を思うと正月気分も吹っ飛んでしまった。