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終戦から早くも60年が過ぎた。戦争で父を亡くした遺族の方達も60歳を過ぎ、精神的にも経済的にもゆとりを得て、ここ数年、父の慰霊にやってくる方達が多い。個人の慰霊から、各種団体、遺族会、厚生省(政府)の慰霊団と様々である。そんな慰霊行や慰霊祭の毎に、読経を聞き、慰霊のお言葉を耳にし、一緒に涙する事が多い。
 今年も様々な慰霊のツアーがあり、そして最後を締めくくる如くに、高僧達による慰霊法要が厳かに執り行われた。総勢22名、真言宗の高僧達によるチューク環礁内の島々・海上、10箇所にも及ぶ、戦没者の為の慰霊法要が行われたのである。
そして、チューク最初の慰霊法要が始まり、高僧達の読経が流れ出した時、その雰囲気に唖然とした。
普段は重々しい雰囲気の中で、涙・涙の読経しか知らなかった私の耳に聞こえてきた読経の調べは、とても軽快で清々しいものであった。話しかけた一人の僧侶が私に耳打ちして教えてくれた。
『「声明・しょうみょう」と言います』『唄の原点です』
私が聞いたのは『真言声明』で、今回慰霊法要を執り行っている僧侶達はいずれも真言宗の由緒あるお寺の住職達である。そんな高僧達による『声明・しょうみょう』だったのである。
その後の法要の度に私はその美しい調べに聞きほれていた。
高僧達の凛々しくも優しい調べがジャングルに染み渡り、海原を流れてゆく・・・。
地獄のような苦しみの中で亡くなって行った、戦没者の方達の魂にもきっと届いたにちがいない。。。