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『万宝貝』、名前が示すとおりの美しい姿の貝である。
ところがこの貝の英語名は、日本名の高貴なイメージからは程遠く、ちょっと下品な感じの名前が付けられている。『ブルマウスシェール』、なんとブルドック(犬)の口と言う意味だ。しかし、この貝の口をよく見ると、まさに、ブルドックの口と言うにふさわしい。これもまたこの貝の特徴をよく表したものとも言える。日本名の『万宝貝』という名前は、貝の美しさもさることながら、この貝の歴史的な背景からもきている。15世紀のヨーロッパ、イタリアから始まったルネッサンスの文化最盛の頃に、美しい貝の表面に彫刻を施して鑑賞する芸術があった。これを『カメオ』と言い、このカメオの材料として最も人気のあったのが、このマンボウ貝であった。もともとこの時代の貝の収集は高貴な文化の1つとして位置付けられており、なおかつ、マンボウ貝は当時としてはとても貴重な貝の1つでもあったのである。
この美しい貝を見ていると、やはり、ブルドックの口と言うよりも、『万の宝』の方が似合っている。