トラック環礁内に沈んでいる数多い日本の沈船の中に、1隻の潜水艦がある。
総トン数1400トン、全長101mの当時としては最大級の潜水艦、『伊号169・潜水艦』がそれである。真珠湾攻撃で奇跡の生還を果たし、幾多の戦歴を経てこのトラック礁湖にたどり着いた。艦隊錨地に錨をおろし、つかの間の平穏にひたっていた正にその矢先、突然の空襲警報のもと、ハッチを開けたまま急速潜航をしてしまい、乗員・工員89名を乗せたまま不運の最期を遂げてしまったのである。
総トン数1400トン、全長101mの当時としては最大級の潜水艦、『伊号169・潜水艦』がそれである。真珠湾攻撃で奇跡の生還を果たし、幾多の戦歴を経てこのトラック礁湖にたどり着いた。艦隊錨地に錨をおろし、つかの間の平穏にひたっていた正にその矢先、突然の空襲警報のもと、ハッチを開けたまま急速潜航をしてしまい、乗員・工員89名を乗せたまま不運の最期を遂げてしまったのである。
そんな中に、17歳で志願兵として乗り込み、不運にも艦と運命を共にした若干19歳の若者がいた。
そして今、若い兵士が眠る艦隊錨地に、一艘のボートが到着した。兵士の妹と姪達だ。
エンジンを切って漂うボート。暖かい海水のその中には兄の御霊(みたま)がある。焼香し、郷土の食べ物を捧げる。60年の歳月が一瞬にして消え去り、若かりし頃の兄の姿が水面に映る。
漂うボートの上で、兄の思い出に浸る。
兄が乗って作業したであろう潜水艦母船の沈没地、兄が幾度となく足を運んだであろう街の跡、
何度も何度も乗り降りしたであろう桟橋の数々。ボートを走らせ、若き通信兵だった兄の軌跡を辿る。
そして今も兄はこの海にある。
そして今、若い兵士が眠る艦隊錨地に、一艘のボートが到着した。兵士の妹と姪達だ。
エンジンを切って漂うボート。暖かい海水のその中には兄の御霊(みたま)がある。焼香し、郷土の食べ物を捧げる。60年の歳月が一瞬にして消え去り、若かりし頃の兄の姿が水面に映る。
漂うボートの上で、兄の思い出に浸る。
兄が乗って作業したであろう潜水艦母船の沈没地、兄が幾度となく足を運んだであろう街の跡、
何度も何度も乗り降りしたであろう桟橋の数々。ボートを走らせ、若き通信兵だった兄の軌跡を辿る。
そして今も兄はこの海にある。
ーーー 写真・艦隊錨地より夏島を望む ---
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