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チュークには沢山の日本語が残っている。
30年間の日本時代にチュークの社会に溶け込み、チューク語となった日本からの外来語である。
『テンプラ』もまたそんなチューク語のひとつである。
日本料理の『天ぷら』を連想するこの言葉の意味するものは、油で揚げたものは全てこれ『テンプラ』と称する。そんな中で、最もポピュラーな呼び方は、なんと『ドーナツ』の事である。
チューク語で『テンプラ』と言えば通常はこのドーナツを意味する。
このテンプラはチューク地方の最もポピュラーな食べ物の1つで、チューク一番のヒット商品でもある。
味もさることながら、人気の秘密はその値段にある。拳大の大きさのテンプラが1個10セント、10個入りの袋がなんと、1ドルで買えるのである。諸物価が高騰する昨今、
私がチュークに来た30年前からこの値段は変わっていないと言うのも驚きである。
この1袋10個入りのテンプラは、どんなお店にでも必ず山となって置いてある。
小さな市場のお店から、大きなスーパー、パン屋さん、ケーキ屋さん、果てはブルーラグーンリゾートのホテルのフロントにまで置かれて、島の人たちの需要にこたえている。
子供の数が平均10人を超えるチュークの大家族の中では、この安くて美味しいテンプラは無くてはならない大事な食べ物となっている。