2009年03月

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チューク環礁内には80前後の無人島がある。
長さ数キロにわたる大きなものから、数十メートルの小さなものまで様々である。
南の島の人達にとって、無人島は絶好の漁場であり、遊びの場でもある。
同時にまた、このような無人島は恰好の海鳥の棲みかともなっている。
今年の正月明け、そんな小さな無人島の一つに行ってみた。
見渡す限りコバルトブルーに輝く、アウトリーフの先端にその無人島はある。
そこは幅20~30m、長さ200m程の、出来たばかりの砂浜の島である。
この2~3年で緑も少しずつ増えてはきたが、まだ人が涼をとるほどではない。
こんな、まだ人が余り行かない無人島には海鳥が産卵をするケースが多い。

ボートが島に近づくにつれ、海鳥達が騒ぎ始める。
一斉に島の上空を飛び交い、我々が乗っているボートのそばまで飛んできては異常な泣き声を発している。 卵や雛鳥を守るための威嚇行動だ。 島に上陸して見てみると、いるいる、
そこら中に雛鳥の姿が見える。 まだ生まれたばかりの雛鳥たちが、私達の足音におびえて逃げ惑っている。 島の中を歩き回るのもはばかられる。 注意深く砂の上を歩いていくと、 砂の色とそっくりの卵がそこら中にあり、うっかりすると踏み潰しそうになる。 島の中を歩くたびに、ヒッチコックよろしく親鳥達の威嚇攻撃を受ける。 少し大きくなった雛鳥は、小さな島の中で逃げ場を失って波打ち際まで移動している。 海鳥のコロニーだ。

最初の訪問から2週間後、フィッシングの休憩時間に、またこの島に上陸した。
最初の訪問時と同じく、コバルトブルーの水面を進むにつれ、親鳥達が盛んに威嚇し始める。2週間も経つと、雛鳥たちもかなり成長したらしく、幼稚園の園児よろしく静かなビーチの上に整然と並んでいる。 現地人スタッフが雛鳥たちに近づいて行く。 驚いた雛鳥達は、逃げ場を失ってビーチから海の中に逃げ惑っている。 面白がっている現地人スタッフに、もうそれ以上近づかないように注意する。 海に逃げた雛鳥たちは必死になって砂浜に戻ろうとしている。親鳥達も雛の上で盛んに声を出し、励ましている様子がうかがえる。 風や潮の流れが強くて思うように行かないようだ。 それでも皆は一かたまりになって、やっと砂地に上陸できた。  見ている方もハラハラドキドキで手に汗握る光景だ。

その後も、1週間おきに2度、この無人島に行ってみた。
驚くほど成長が早い。 大きくなった雛鳥の数は行く度毎に増えており、今ではビーチの先端の砂地を埋め尽くすほどである。 細長い島の両端に、この雛鳥たちの集団がある。
よく見ると不思議な事に、北側のビーチは白い鳥の集団で、反対側の南側のビーチは黒い鳥の集団となっている。 黒い鳥の集団の中には、白っぽい雛鳥の姿も混じっている。
写真を撮ろうと近づくと、例によってすぐに海の方に逃げてゆく。 それがかわいそうで、なかなかそれ以上は近づけない。

 最初の訪問からほぼ1ヵ月後、もう一度この島を訪ねた。
例によって親鳥達の威嚇の歓迎を受け、島に上陸する。 北の白人と南の黒人の領域はそのままだ。 みごとに分かれている。 それぞれに大きくなった雛鳥達は、親鳥に混じって、島の先端のビーチで風を体いっぱいに受けて立っている。 時々、風に向って羽を広げるしぐさを繰り返しているのがわかる。 飛ぶ練習をしているのだ。 いよいよ巣立ちも間近である事を示している。 写真も撮りたかったのでちょっと近づいて見る。
先週までは、逃げ場もなく海の上で逃げ惑っていた雛鳥は、一斉に羽を広げ、なんと上空に舞い上がったではないか! 飛べるんだ! 飛べるようになったんだ!
心の中で言いようのない感動が湧き上がってくる。
それでも長く居るのは邪魔だと思い、すぐに遠くに引き下がった。
案の定、飛び上がったばかりの雛鳥達は、すぐに元の砂地に舞い降りてきた。
親鳥達に比べ、飛び方もまだぎこちないのが見て取れる。

孤島を選んで産卵し、孵った雛鳥は砂浜の上で一日中風に向って立っている。
見事なまでの整列だ。時々羽を広げては砂の上を走り回っている。
天空高く舞うイメージを膨らませているのだろうか。 
もう巣立ちはすぐそこだ。
貿易風が強くなるこの時期を選んで産卵するのも、海鳥達の生存の知恵なのかもしれない。
大海原を自由に飛び交い、大海に羽を休める・・・。
いつも外洋で見かける海鳥達の一生を垣間見た気がする。

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ここ、チューク諸島では週末になると一斉に翌週分の食糧をまとめて作る習慣がある。
島人のほとんどがクリスチャンで、日曜日はキリスト教の安息日でよほどの事がない限りは働くことはない。日曜日は教会に行き、お祈りを済ませてのんびりとした1日を過ごす。
もっとも、日曜日でなくてもいつものんびりとした生活ではあるが・・・・。

そして今日は金曜日、島の中を歩いていると、あちこちで現地食を作っている光景に出くわす。
タロイモやパンの実がその主要な食べ物だ。
チューク地方独特の臼と杵を使い、タロイモやパンの実を潰して餅にする。
これをそれぞれ、タロイモの葉っぱやパンの木の葉っぱに包んで保存する。
そして、翌日からの1週間は、この保存食を食べてのんびりと過ごす。
3日もすれば中身は傷んでカビが生えてくるが、それが彼らの食べ物であり、食べ方である。
これは、チューク地方に古来から伝わる伝統的な調理法であり、彼らの主食となっている。

今日と明日の2日間、パンモチやタロイモをつくパンパンと言う音が、村々にこだまする。

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ここは、ミクロネシアのチューク諸島。
お客様から、ヤシの木やヤシの実についての質問をよく受ける。

一番多いのは、
『ヤシの実って、枯れると黄色くなるんですか?』と言う質問。
ヤシの実をよく見ると、青っぽいのから黄色っぽい物までさまざまである。
そんなヤシの実を見ての質問だ。
正解は、青いヤシの実もあれば黄色い種類のヤシの実もある。
ヤシの実は枯れるとヤシの木から落ちて、枯れ木と同じような色になる。
枯れたからと言って、決して黄色くなるのではない。
黄色のヤシの実は最初から黄色いし、青い色のヤシの実は最後まで青っぽい色をしている。

たまに、とてもユニークな質問がある。

ヤシの実を初めて飲んだお客様からのご質問、
『この実の中にどのようにしてジュースを入れるんですか?』
決して冗談なんかでは無い!
本人は至って真剣なのである(*^_^*)

そして、このような質問も何度か頂いた事がある。

チュークの空港から、ブルーラグーンリゾートホテルまでの道のりは約7キロ。
途中、村の中やジャングルのような所も通って、道路の両側はヤシ林の連続である。
そして車は、ブルーラグーンリゾートに到着する。
リゾート内は特にヤシ林の景観が素晴らしく、いかにも南の島に到着した、と言う気分にさせてくれる。
さて、そこで、お客様の質問である。
『末永さん、ここにヤシの木ってありますか?』
『どれがヤシの木ですか?』

こんな時の私は、普段のおふざけガイド振りを胸の奥深く仕舞い込んで、
特に真面目なガイドさんになる。

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今日の『南の島の写真館』はチューク諸島で一番人気の、ブルーラグーンリゾートホテルです。
チューク諸島の中心地であるモエン島(春島)の最南端の岬にあります。
三方を海に囲まれ、芝生とヤシ林の中に木造コテージ風の落ち着いた建物が点在します。

今日は、この海とヤシ林に囲まれた『ブルーラグーンリゾート』でごゆっくりとおくつろぎください。

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我が家は、ミクロネシアはチューク諸島・モエン島の最南端の岬にある。
ブルーラグーンリゾートホテルの敷地内にあるスタッフハウスがその住まいである。
周りを海に囲まれ、家のテラスから一番近い海は、わずかに数十メートルの距離でしかない。
そんなところに住んでいる私たちだが、しばらく海に出ていないと、『ああー、海に行きたい!』と切に思うようになる。
そしてここ10日ばかりは、海に出るお客様もなく正に家から海を眺めているだけである。天候が悪く、海が荒れている時にはそうでもないが、天候も良く海も穏やかで、恰好の海日和何ぞになってくるとなんとなくソワソワしてくるのが自分でもわかる。そんな時、テラスに座り海を眺めていると、釣りをしている姿や、泳いでいる姿、無人島でノンビリ遊んでいる自分の姿などが次々と思い出されて、ムズムズしてくる。
どうも、海に出ていないと仕事をしていないような錯覚にも襲われ、なんとなく落ち着かない。
早く海に出るのが待ち遠しい毎日である。

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常夏の島にも春があるのだろうか・・・・。
3月~4月が北半球の春ならば、北緯7度のチューク諸島はやはり春である。
1年中が常夏の熱帯の島ではあるが、気をつけてよく見ていると随所に春の季節を感じる事ができる。

その筆頭が、南洋桜であろう。 
3月、日本に桜情報が聞かれ始める頃、それに呼応したかのように赤い大きな花を枝一面に、一気に咲かせ始める。それ故、かつて南の島々にいた日本人達に『南洋桜』として親しまれた花だ。ただし、本家本元のか弱い桜と違い、情熱的な真っ赤な花を半年間にも亘って咲かせ続けていく。南洋桜が咲き始めた頃に感じる春の季節は、この花の最盛期には灼熱の夏の季節に突入している。この南洋桜がか弱い可憐な花でなく、情熱的な真っ赤な花であることが何となく実感できようと言うものだ。
南の島は、春も情熱的だ。

南洋桜の蕾が次々に膨らみ、赤い花を咲かせ始める頃、マンゴーの木の枝先には沢山のかわいいマンゴーが鈴なりになってくる。そして4月ともなると、赤みをさして美味しそうに熟れたマンゴーが枝もたわわにぶら下がっている。大きなマンゴーの木の下に行けばいつでも熟れたマンゴーが落ちている。ローカル市場では、どの売り場にもマンゴーが山と積まれている。この時期になると道行く人達の殆どがマンゴーをかじっている。そして子供達のポケットはいつもマンゴーで膨れている。マンゴーは南の島に春の到来を告げる数少ない果物である。

チューク諸島の3月はまだまだ貿易風が強く、この風は4月頃まで続いている。
ここチュークの春は、貿易風の吹き荒れる最後の季節でもある。そしてこの春の貿易風は、南の島に1つの風物詩を見せてくれる。

 春の澄み切った青空に、時として雪ならぬ純白の綿が舞い始める。
手のひらほどもある大きな物から、正に小雪がちらつくような小さな物まで、様々な大きさの綿雪が春の空に舞っている。どこから飛んでくるのか、かなりの高空を大小の白い綿毛がふわふわと風に乗って流れてゆく。ふと下を見ると、路上一面に、あるいは草むらに白い花が咲くように、純白の羽毛が積もっていたりする。
『カポック』と呼ばれる綿の木の花である。
チューク環礁の大きな島々には、このカポックの木が随所に見られる。熱帯のジャングルでも一際大きな背の高いこの木はどこからでも眺められる。そして3月の声を聞くと一斉に白い大きな花を咲かせる。この花が綿雪の正体だ。手のひらに乗せても全く重さは感じない。とたんに柔らかい温もりがてのひらに広がってゆくのを感じる。それもそのはずで、どんな物体よりも浮力に優れ、断熱効果に優れている。ジャングルの木々の間から大きく顔を出し、白い綿毛の中に小さな種を包み込み、青空を浮遊する。

南洋桜が報せる真っ赤に燃える情熱的な春。
その圧倒的な春の中に柔らかい春の季節を感じさせてくれる綿雪。
巨木を覆い尽くす純白の綿の花に春の到来を感じ、青空に舞う綿雪に行く春を想う・・・。

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久し振りに登山に行った。
今日は、普段の軽いハイキングと違い、本格的な登山だ。
まずはモエン島の最高峰であるトノッケン山の山頂を目指し、そこから島を南北に延びる尾根伝いに縦走しようと言うものだ。
トラック病院のパーキングに車を止め、病院裏からいきなり尾根伝いに歩き始める。
しばらくは民家のあるところを通って行くが、海抜50mを過ぎたあたりから、いきなり崖をよじ登る
コースとなる。

今日のメンバーは、いつものハイキング仲間のご婦人たち3名と若いお兄さん、それに私の5名。
3名のご婦人はいずれもかなりの年齢の方達だが、これが若い者顔負けの足達者で、転げ落ちるような急坂も、路なき路のジャングルもへのカッパ、とにかく元気なのである。

私が蛮刀片手にブッシュを切り開き、ひたすら山頂目指して、路なき路の熱帯のジャングルをよじ登る。
登ること2時間余り、ついに山頂に到着だ。
その絶景は息をのむばかりで、これまで多くのチュークの景色に接してきた私も、これほどの絶景にはお目にかかったことはない。
それもそのはず、ここはモエン島最高峰のトノッケン山頂なのである
しかも山頂の岩山の付け根には、トンネル状の日本軍の防空壕まであった。
話には聞いていたが、まさかこんな山のてっぺんにあるとは夢にも思っていなかったので、
これまた感慨ひとしおである。
丈夫な蔦蔓(つたかずら)をダブルにしてザイル代わりに山頂の岩山によじ登る。
ちょっとしたロッククライミング気分である。

天上からの絶景を堪能した後、いよいよここから、急峻な山頂の縦走をスタートする。
尾根の両側はいずれも100~200の断崖絶壁である。
ブッシュで尾根の地肌が見えないところもある。
一歩誤ると一気に転落していきそうな縦走路を慎重に歩いて行く。

それでも所々にゆっくりと休める場所もあり、そういう場所では小休止して、
尾根を渡る風に英気をもらう。
正午、2人3人がやっと座れるくらいの痩せ尾根に腰を下ろし、涼風に吹かれて弁当を広げる。
眼下には、モエン島の東西の景色が同時に見下ろせる。

そして午後から更に3時間。
崖、ブッシュ、ジャングル、急峻な尾根、そして天上の遊歩道、古代人の遺跡、高原、等々、
変化に富んだ7時間にも及ぶモエン島の屋根の縦走は無事に終了した。

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ハワイやグアムに行くと、免税店や土産品店等で黒サンゴの装飾品をよく見かける。
現地では『ブラックコーラル』と呼ばれ、特にハワイでは特産品として、観光客に喜ばれているお土産品の一つである。
サンゴと言えば、シュノーケリング等でよく見かける色とりどりのサンゴをすぐに思い浮かべるが、
この黒サンゴは、通常のシュノーケリング等ではめったに見かけることがない深海のサンゴである。
ハワイ方面では、特別な潜水艇などを使って100m前後の水深で採取しており、現在ではとても貴重な宝石サンゴとなっている。
ところがチュークでは、この貴重なはずの黒サンゴも、アウトリーフのドロップオフをちょっと深めにダイビングしているとそこかしこに見る事ができる。
もう、グアムやパラオでも滅多に見ることもないそうで、チュークは数少ない黒サンゴのポイントなのかもしれない。

この貴重な黒サンゴ、やはりと言うか、とうとうと言うか、2年ほど前ついにワシントン条約の保護種目に指定された。
浅場にも沢山の黒サンゴが見られるチュークの海は、これでますます貴重な海となってきた。

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