2006年10月

満月の昨夜から今夜にかけて、夜はずっと厚い雲に覆われ、優雅な満月の姿を片時も見ることが出来なかった。今も強い雨が、椰子の葉をパタパタと叩いている。
日曜日の夜は、フライトスケジュールの関係で、真夜中までずっと外に出て走り回っている。
丁度週末に当たった今月のフルムーン、こんな時に大きな月の光を眺めていると心が休まるはずだったのに、あいにくの雨空で、月の光も、星の光さえも全く見ることが出来ない。
空港でも飛行機到着を待って、バスの中でふて寝していた。ここ数日は睡眠不足がちだったので、かえってのんびり出来て良かったのかもしれない。
これから1ヶ月、来月の満月まで、殆ど休む暇がない。今年も余すところあと2回の満月を迎えるのみとなってしまった。眉月から始まって上弦の月から満月と、毎日忙しい思いをしながらながめる月の移ろいもまた楽しいものである。今度の満月はどんな姿を見せてくれるだろうか。。。。

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一日海に出ていると、いろんな事に遭遇する。
イルカの群れやクジラの群れ。
海面を鳥の如く飛び回る飛び魚達。
水面を巨大な蝶のように泳ぎ、優雅に宙に舞うマンタ。
雲霞の如く洋上に群がる海鳥の大群・トリヤマ。
トリヤマの中を泳ぎまわるサメの群れや、ジャンプする大きなキハダマグロ
水面での海亀の交尾。
ボートの下を悠然と泳ぎまわる巨大なイソマグロ。
環礁に叩きつける山のような波と巨大なウネリ。
海面から天空高く巻き上がる竜巻の渦。

どれもこれもが、地上では全くお目にかかることが出来ない、海の自然の驚異だ。
そして、今日また、取って置きの海のロマンに遭遇した。
シャチだ。
我々の乗っているボートよりも大きなシャチが3頭、
頭部に純白のペイントを施した愛嬌のある姿で何度も何度もご挨拶に現れた。
思わず釣りの手を止めて、その優雅な姿に見とれてしまったものである。
最近、シャチやマッコウクジラを見かけることがよくある。
こんな時には、宝クジにでも当たったような心地で、いつも一日中ウキウキとしている。
海に出ると、いつも心が洗われる。

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チューク諸島・モエン島最南端の椰子林に囲まれたビーチにブルーラグーンリゾートというホテルがある。このほどこのホテルに、野外パーティー会場が完成した。
従来のBBQガーデンを改修したもので、オープンエアーの会場が2棟、海に突き出た形で配してある。すぐ隣には、サンセットビーチバーがある。夕食前のひと時、世界中から集まったダイバー達が、ダイビング話しに花を咲かせながらグラスを傾けている。陽も傾き西の空が茜色に染まる頃、ここで飲むビールの味はまた格別なものである。
あらかじめ予約すれば、誰にでも貸切で提供してくれる。
無論、使用料は支払う事になるのだが、支払って余りあるものが得られる事請け合いだ。

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マングローブ・・・。
世界中の熱帯・亜熱帯域の海岸に広がる不思議な樹木である。
海水域や、海水と淡水とが入り混じる汽水域にのみ埴生する。
マングローブの林は、魚介類の格好の住処である。
浅場の栄養分の富んだ海は、マングローブの林に守られて、小魚やエビ、貝、カニたちの絶好の生息地となっている。南の島の代表的なカニ、『マングローブ蟹』もこの海域に生息している。

マングローブには沢山の種類があるが、日本では概ね、ヒルギ科の常緑樹の総称で呼ばれている。燃やすと火力が強く火持ちが良いところから薪にもすぐれていて、南の島の人達の大事な燃料ともなっている。かつて日本時代には、このマングローブを燃料として、随所で食塩が作られていた程だ。
材質はとても硬くて、現地人の家屋や、伝統的な集会場の柱や梁として今も重宝されている。
その昔、部族間闘争が絶えなかった頃、鉄器の無い南の島の貴重な武器の材料としても利用されていた。チュークの風俗の1つとして今に伝えられている『ラブスティック・夜這い棒』
はこのマングローブの真っ直ぐに伸びた気根で作られたものだ。
遠浅の海の中に夕陽をあびて浮かぶマングローブを見ていると、島人達ののどかな生活風景が
思い出されてくる。

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先週の週末、3男のひろみが久し振りにザビエル高校の寮から帰ってきた。
家に帰る途中のストアーでケーキの材料を買い込み、『ケーキを造って欲しい。』と、
突然ケーキのオーダーが入った。
いつも寮の殺風景な食事をしていると、どうしても甘い物が欲しくなるらしい。
甘い物には目が無い私としては、待ってましたとばかり、その翌朝、さっそく買ってきたチョコレートケーキの製作に取り掛かった。
島内のストアーに行っても、日本のような美味しいケーキや菓子パンなどは皆無で、
甘い物を食べたくなったら、自分で作るしか方法は無いのである。
出来上がりは上々、ひろみと2人で、『美味しいね!』と、ニコニコしながら食べたものである。
そして、今、その最後のケーキを食べながらブログを書いている。
そして今度は、大好物のシュークリームに挑戦してみようと、密かに策を練っているところだ。

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青い空と青い海、そこに浮かぶ緑の島々。。。。
南の島の絵に描いたような景色が目に浮かぶ。
ところがここ数日は、こんな鮮やかな海の景色にお目にかかることが出来ない。
霞みのせいだ。
南の島でも霞が立つことがよくある。
現地の人が『トプトプ』と呼んでいる現象で、まさしく目がかすんだように、遠くの景色がぼんやりと見える。海の青も無く、空の青も無く、ましてや緑の島も色を失くして、ぼんやりと灰色の世界に浮かんでいる。
空気が水蒸気で飽和状態になり、視界をさえぎる大気の自然現象である。
今日もフィッシングで海に出かけたが、まるで色素欠乏症にかかったような冴えない海であった。こんな日はどうしても気分も滅入ってしまうが、いい面もある。
太陽の熱をシャットアウトして、適当に風もあり、とても涼しい。
でもやはり、チュークに来て涼しい海は似合わない。
サンサンと降り注ぐ太陽の下、思いっきり竿を振り、汗びっしょりになって大物と挌闘する。
そんな釣がはやり良く似合う。
明日は、南の島独特の原色の海であって欲しいものだ。

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この週末は連日大荒れで、風雨が吹き荒れている。
こんな時には、船舶やボートは風雨がおさまるまで港の中におとなしく停泊しているものだが、
ここチュークの港は、一端海が荒れ始めると一斉に港から逃げ出して島の反対側に避難する。
港の中には、小さいボート1隻たりとも見当たらない。
あれる時には何にも役に立たない港なのである。
 モエン島のこの港は島の西側にあり、北東乃至は東からの貿易風をしのぐ形で造られている。
ところが、チュークの海が荒れるのは概ね西風や北風になったときである。
そしてこの港は、西風と北風には全くの無防備で、防波堤の1つも無い。
かくて、写真のような異様な風景を見せてくれるのである。

その点、日本時代の海軍の軍港は、東西南北、どの嵐が来ても、全く問題は無かった。
その立派な港が全く放置されて、ジャングルに帰しているのは、全くもってもったいない話ではある。

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チュークには、月に一回程の割りでコンテナ船が入港する。
必ずと言う事ではないが、それでもだいたいこの船で生鮮食料品がストアーに並ぶ事になる。
今回も品物が出揃った当たりで買い物に出かけた。お目当ては新鮮な卵だ。
もうすぐ10月になるというのに、今まで島のストアーに並んでいた卵は、新しい物でも7月に出荷されたものばかり。一軒、一軒、卵を置いている大きなストアーをチェックして行く。
大して期待はしてはいなかったが、やはりルンルンするような新鮮な卵は何処にも入っていなかった。
一番新しい物で、なんと、8月18日の卵。仕方なく一ヶ月半前の卵をしこたま買い込んだ。
これでも、今買っておかないと、この卵もすぐに店頭から消えてしまう。
世界から隔絶された南の島に住んでいると、俗に言う賞味期限なんて、何の意味も持たなくなってしまう。卵の2ヶ月や3ヶ月なんてまだいい方で、中には賞味期限が切れて、5年、10年物まで、商品棚に大きな顔をして並んでいる物もある。
時々、日本のお客様から、日本食が沢山ありますねぇ~。と言われることがある。
ところがこの日本食を良く見ると、数ヶ月どころか、もう何年も賞味期限が切れたままである。
白味噌は、赤味噌に変色し、透明なはずの酢は茶色に変わってしまっている。写真のラッキョなんかは、平成3年の15年オールドである。さぞかし、乙な味がするに違いない。
炎天下にノドを潤すビールの賞味期限もまた同様で、美味しく感じている間が賞味期限となる。

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