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最近、チューク人の海外への出稼ぎ者が急激に増えている。
グアム・サイパンのマリアナ地方、ハワイ、は言うに及ばず、遠くアメリカ本土でも沢山のチューク人達が働いている。ハワイやアメリカの学校に行って、そのまま居つく者も多い。
グアムに行くと至る所でチューク人を見かける。
飛行場の中、ホテル、レストラン、ストアー、一般会社、工事現場、一般家庭の家政婦、など等。
あらゆる仕事場に浸透していてグアムの下層労働者の中のかなりの比率を占めているようだ。

先週2週間、とある国立大学の教授がチューク人の出稼ぎの実態調査にいらっしゃった。
私の古くからの友人でもあり、敬愛する人生の大先輩でもある。
もう30年以上も前から、ミクロネシアの人類学を研究しておられ、いまでは大学や学会の要職にあり
私の手の届かない存在となってしまったが、それでも、旧交を暖め、連日楽しくも意義のある会話で
久し振りに中身の濃い2週間を過ごさせて頂いた。

そして、彼の帰国後のメールの中にこんな一行があった。
 『それにしても、トラックの人々の現金収入のなさと消費経済に依存しなければならない生活の現実は、10年前より悪くなっているように見えます。少数のリッチ層と大半の「困窮層」との格差は、多くの人を海外へと向かわせることになるのだと思います。現在、FMSから4万人の海外居住者のうち、3万人ちかくがトラックからだと推測されます。』
彼の調査によると、なんと全人口6万足らずの内の約半数がチュークから出て、海外で働いている事になる。今回の彼の調査に一日同行した事があった。実態調査をしながら、その出稼ぎ者の比率の高さに唖然としたものだ。ある一族などは、チュークに残っている者は極わずかで、その殆どがハワイやアメリカ本土に出て働いているのである。昨今の、この出稼ぎ者の仕送りマネーは、チュークの消費経済を大きく支えている。チュークに住んで、周りを見渡しているとその様子は手に取るように解る。

未だ自給自足社会から脱却できず、今も昔ながらの生活を送っている人達が、現地では果たせぬ現金収入の道を求めて、ドンドンと海外に出かけていく。日本と違い、子供の数がどの家庭でも10人以上は居るという現実が、それでも人口を増やし続け、出稼ぎ予備軍をつくっているのである。島に溢れる人達を見ていると、それほどまでに外に出ているのかと驚かされるが、外国で死んで帰ってくる人の数の多さを考えると、やはりそれだけのチューク人が海外に出ているのだなあとうなずかずにはおれない。