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チューク地方で重宝されている貝の1つにトウカムリがある。
人間の頭程の大さがあり、数多い貝の中でも大型の部類に入る。
和名の『トウカムリ』は、唐時代の冠に似ているところからこの名がある。
英語名はそのままズバリ、『ヘルメットシェル』である。
亜熱帯から熱帯にかけて広く世界の海に分布している。
チューク地方ではその形状から、食器や容器、鍋の代用としても用いられた。
このように古来より南の島の人たちに重宝された貝として、海洋考古学の資料としてもとても貴重なものである。大きな貝であるから、当然中身も大きくて、食糧としても大事なものである。
チューク地方では、茹でて中身を取り出し、塩漬けにして、大事な副食品として食されている。

トウカムリにはもう一つ、変わった用途がある。
日本でよく、野武士や山伏などが、ホラ貝を吹き鳴らしている図を見かける。
あの法螺(ほら)に使われているのが、このトウカムリである。
チューク地方でもホラ貝はよく使われるが、同様にして、このトウカムリも古くから法螺の材料として重宝されてきた。ホラ貝よりも中の隔壁が大きく、低くて太い音が出るのが特徴だ。
ホラ貝と違った音を出すところから、様々に使い分けられてきたと言う。
そしてこのトウカムリは、益貝で、サンゴの敵・鬼ヒトデの天敵でもある。
南の島の人達に貴重な道具を提供し、美味しい食べ物を与え、大事な海産物の棲みかである美しいサンゴ
を守ってくれる、とても大切な生き物なのだ。
別名の『センネンガイ・千年貝』は、古くから、南の島の人達の生活を潤してきたこの貝のニックネームにピッタリの名前である。